2003/11/6 南紀白浜 瀬戸臨海実験所前の磯(潮溜り)
天気:曇時々雨 水温:約24℃


 奄美大島への移住旅行で、和歌山県の南紀白浜にある「瀬戸臨海実験所」にお世話になりました。
 実験所利用の目的は、ウミウシに関する文献の閲覧・複写です。
11月3日〜5日までの3日間、図書室にこもり、各文献を閲覧・複写させていただきました。
 ここは海洋生物に関する資料がとても豊富です。私にとっては天国のような場所でした。3日間では全然足りず、半年くらいいても飽きないと感じるほどでした。
 途中、実験所に勤務しておられる田名瀬先生に、先生が研究されたウミウシ(キカモヨウウミウシ、クサモチアメフラシ)の論文(南紀生物)を頂きました。
 久保田先生からは、専門に研究されておられるクラゲの話をお聞きすることができました。
 また、たまたま図書室を訪れておられた、日本貝類学会 評議員 理学博士の湊先生にもお会いすることができ、専門にご研究されている、カタツムリの仲間の話もお聞きすることができました。湊先生の話はたいへん詳しく、そして楽しい内容でした。
 カタツムリの種類は、ウミウシよりもはるかに多いそうです(正確な数字は忘れてしまいましたが桁が一つか二つ違ったと記憶しています)。
 故 馬場先生も、お元気なころはよくこの図書室を訪れていたそうです。馬場先生が過去によく利用した施設に今こうしていられるだけでも万感の思いがこみ上げてきます。
 最終日の夜には京都の老舗のちゃんこ鍋をご馳走になるなど、一生の思い出に残る体験でした。

 移動日の11月6日も、ぎりぎりまで図書室を利用したかったのですが、やはりここまで来て海に入らないというのは考えられません。
 この日は大阪まで移動する関係で、時間的にスキューバダイビングは無理でしたので、実験所の前にある磯でウミウシを探すことにしました。

 実験所のすぐ手前は砂利っぽい砂浜ですが、海に向かって右側奥は磯になってます。
 満潮時には潮溜まりは無くなってしまいすが、この日はちょうど正午ごろが干潮のようで、なかなかの潮溜まりが広がってます。
 一番手前の完全に潮溜まりになっている、ちょっと深めの水溜りのような場所から探し始めてみます。
するとすぐに「ホンクロシタナシウミウシ Dendrodoris nigra」とミノウミウシの仲間が見付かりました。
 ホンクロシタナシウミウシは直ぐにそれとわかったのですが、ミノウミウシの方は「どこかで見たことがあるけれど・・・なんだったかな?」という感じです。
まずは念入りに撮影して、後で調べたところ「フウセンミノウミウシ Facelina rhodopos」であることがわかりました。
日本からの個体としては、過去に、栗原さんの西伊豆・大瀬崎の個体や、小野さんの慶良間の個体をWebサイトで確認しています。
 このウミウシ自体も「Yonow, 2000」ということで、ごく最近の記載です。まさか、いきなりこんなウミウシに出会えるとは思ってもいませんでしたのでとても嬉しかったです。

 一部が海をつながっている広い潮溜まりに移動してウミウシを探します。
 「オカダウミウシ Vayssierea felis」は個体数はあまり多くはないようですが、5個体は確認できたと思います。
 この磯は「タカラガイの仲間」がとても多く、大小多数確認できました。大きなものえは10cm近いものもいました。
 海底の雰囲気が南伊豆・下田に磯に似ているなと思っていたら、下田の磯でよく見た「ヤツミノウミウシ Herviella yatsui」が見つかりました。
2個体は今までによく見たタイプの個体でしたが、1個体はミノがフウセンミノウミウシのように膨らんでいる個体でした。ぱっと見、別種のように思えるほどミノが膨らんでいましたが、全体の形状や模様から、ヤツミノウミウシであることは間違いないと思います。

 2003/12/3 追記:
 「ヤツミノウミウシ間違いないと思う」と書いていたこの個体ですが、どうも違う種のようです。
なんとなく気になって、うっしーず、OSEHOO!、Sea Slug Forum の各種 Web Site で度調べてみたところ、「シラツユミノウミウシ Herviella albida」に該当するようです。
ちょっとでも違うなと感じたら、あせらずじっくり調べることが重要ですね。


 比較的大きな「クモガタウミウシ Platydoris ellioti」もいました。

 ホンクロシタナシウミウシは真っ黒い個体をもう一個体確認しました(最初に見た個体はオレンジ色)。

 岩肌から体長3mm弱の小さな「クロヒメウミウシ Metaruncina setoensis」と思われるウミウシが見つかりました。しかし撮影して細部を確認してみると、どうも違うようです。
クロヒメウミウシの場合、外套後部のフチ付近に白い貝殻が外套の内部から薄っすらと見えますが、今回のこの個体にはその存在がまったく確認できません。
外套のフチの模様も異なります。しかし種の特定はできず、現在のところは「ウズムシウミウシ科の仲間? Runcina ? sp.」としました。

 魚類も南洋系の種が多く目に付きました。磯の淵まで行って深場所を眺めてみましたが、潜れば磯とはまた別の種類のウミウシが見つりそうな雰囲気でした。
 昼ごろに潮が満ちてきたので上がりましたが、またいつか訪れてみたいと思う海でした。

 海から上がり、出発前に瀬戸臨海実験所内にある水族館を訪れました。
入館料は500円ととても安いのですが内容はとても充実してます。なによりも、思いもよらずウミウシの展示があり、そしてそのウミウシがなんと憧れの「ハナデンシャ Kalinga ornata」だったのです。
他の水槽で魚を撮影していた妻のデジカメを奪い取り夢中になって撮影しました。ハナデンシャの居た場所の関係で側面からは撮影できず、水面からの撮影となってしまい、思ったようには写せませんでしたが、それでも十分満足できました。

 瀬戸臨海実験所でも4日間は、とても充実した楽しい日々でした。またいつか必ず訪れたいと思います。
 あまり例の無い宿泊しながらの外来利用でしたが、外来ということによる制限もなく心ゆくまで施設を利用させていただきました。実験所の職員・先生方には、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

※ 移住旅行の詳細は、妻が現在作成中の「かほる移住旅日記」にて公開する予定です。

南紀白浜・瀬戸臨海実験所前の磯で出会ったウミウシたち

オカダウミウシ Vayssierea felis ---- 5個体
クモガタウミウシ Platydoris ellioti ---- 1個体
ホンクロシタナシウミウシ Dendrodoris nigra ---- 2個体
フウセンミノウミウシ Facelina rhodopos ---- 1個体
シラツユミノウミウシ Herviella albida ---- 3個体
ウズムシウミウシ科の仲間? Runcina ? sp. ---- 1個体
ハナデンシャ Kalinga ornata ---- 1個体(瀬戸臨海実験所の水族館で撮影)

学名の読み:メタルンキナ セトエンシス クロヒメウミウシ
Metaruncina
setoensis
学名の読み:メタルンキナ セトエンシス クロヒメウミウシ
Metaruncina
setoensis
学名の読み:メタルンキナ セトエンシス クロヒメウミウシ
Metaruncina
setoensis
学名の読み:プラティドーリス エリオットイ クモガタウミウシ
Platydoris
ellioti
学名の読み:プラティドーリス エリオットイ クモガタウミウシ
Platydoris
ellioti
学名の読み:カリンガ オルナタ ハナデンシャ
Kalinga
ornata
学名の読み:ウァッシレア フェリス オカダウミウシ
Vayssierea
felis
学名の読み:デンドロドーリス ニグラ ホンクロシタナシウミウシ
Dendrodoris
nigra
学名の読み:デンドロドーリス ニグラ ホンクロシタナシウミウシ
Dendrodoris
nigra
学名の読み:デンドロドーリス ニグラ ホンクロシタナシウミウシ
Dendrodoris
nigra
学名の読み:ヘルウィエッラ アルビダ シラツユミノウミウシ
Herviella
albida
学名の読み:ヘルウィエッラ アルビダ シラツユミノウミウシ
Herviella
albida
学名の読み:ヘルウィエッラ アルビダ シラツユミノウミウシ
Herviella
albida
学名の読み:ヘルウィエッラ アルビダ シラツユミノウミウシ
Herviella
albida
学名の読み:ファケリナ ロドポス フウセンミノウミウシ
Facelina
rhodopos
学名の読み:ファケリナ ロドポス フウセンミノウミウシ
Facelina
rhodopos
学名の読み:ファケリナ ロドポス フウセンミノウミウシ
Facelina
rhodopos



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