No.492 2002/11/09 伊豆・大瀬崎 湾内(ナイトダイビング)
天気:晴れ 水温:17〜18℃ 透明度:5〜8m


 「マダラウミフクロウ」をもとめて、大瀬崎のナイトダイビングに行ってきました。
 今年の大瀬崎は「マダラウミフクロウ」の大当たり年で、多くの個体が湾内で目撃されてます。
 「マリンサービスみやもと」の栗原さんがはじめに目撃情報を伝言版に投稿して下さったのが 9月25日で、既に一ヶ月半ほどが過ぎています。もう見れないだろうな、と、諦めていたのですが、最近の栗原さんの書き込みで「マダラウミフクロウまだ見れます」の情報に、もしかしたらこれが最後のチャンスかも?と思い、栗原さんにガイドをお願いしました。

 自宅を夕方出発しましたが、箱根、熱海方面共に道路は大渋滞です。なんとか18時前に大瀬に到着して海を見てみると、強い西風の影響で海面は少し(かなり?)荒れています。
 ナイトダイビングの開始時刻は19時ですので、しばし宮本さんと、本日もう一人のお客さんでウミウシが大好きな村田さん(栗原さんの「心の友」です)とウミウシの話題で盛り上がります。村田さんは、既に「マダラウミフクロウ」を数回見ていて今回も探して下さるとのことで、とても頼りになります。

 19時過ぎにエントリーすると、海面は若干静かになっているように感じましたが、水中はダウンカレントが発生していています。流れはそれほど強くないのですが、ダイビング中絶えず沖へと流れていました。

 エントリーして直ぐ「ビワガタナメクジ Dolabrifera dolabrifera」と「クロスジアメフラシ Stylocheilus striatus」を見せてもらいます。思えば、大瀬崎ではこの2種類ともはじめて見ました。

 しばらく「ビワガタナメクジ」と「クロスジアメフラシ」を撮影してから「マダラウミフクロウ」を探しながら移動してると、栗原さんが黄色いウミウシを見つけています。近寄って見てみると、なんとそのウミウシはダウンカレントに乗って移動するかのように水中を漂っているではないですか!しかも、水流を受けやすいようにか、体を縦にしています(栗原さんの観察ですと、体の周りに粘膜を張って更に流れを受けやすいような感じだったそうです)。
 このままでは、撮影できないので(栗原さんは舞っているシーンも見事に撮影してました!)、なんとか砂地に降ろそうとしますが、なかなか着底してくれず、手の平で流れをさえぎってどうにか着底するのですが、しばらくするとまた自らの意思で浮くように、浮遊してしまいます。
 なんとか、着底した所を撮影して確認してみると、このウミウシは「アカシタナシウミウシ Dendrodoris fumata」のオレンジ色&マダラ模様個体のようです。
 「Dendrodoris fumata」は、磯でもよく見かけますが、このようなシーンは、はじめて見ました。このウミウシだけがそうなのかな?と思っていましたが、後で栗原さんから聞いた話では、「ビワガタナメクジ(3個体)」、「クロスジアメフラシ」、「アカエラミノウミウシ」、そして、この後出ますが「マダラウミフクロウ」までもが、このダウンカレントに乗って移動するかのように水中を漂っていた(流れていた)そうです(「マダラウミフクロウ」は私もそのシーンを見ました!)。
 ウミウシは、今回のような外敵に襲われ難い夜間のダウンカレントに乗って深場に移動するのかもしれませんね・・・なかなか興味深い体験でした。

 さて、肝心の「マダラウミフクロウ」ですが、なかなか見つかりません。それでも、栗原さんと村田さんが、色々なウミウシを見せて下さいました。

 「ミドリアメフラシ Aplysia oculifera」は、冬の磯でよく見かけるウミウシですが、大瀬崎では、はじめて見ました(たぶん、私が冬の大瀬崎をあまり潜っていない為だと思いますが・・)。

 「ユビワミノウミウシ Cuthona purpureoanulata」もいました。このウミウシは思い出深いウミウシで、2001年の真夏の大瀬崎で、まだウミウシの探し方がよくわからず、1個体も見つけられずにエキジットしようとした時に、浅瀬で妻が見つけたウミウシです。その時は3個体ほどいましたがどれも小さな個体で、上手く撮影出来なかったのですが、今回はジックリ撮影させてもらえたので、納得のいく撮影が行えました。

 その他では、「アカメミノウミウシの仲間1(和名なし) Cratena cf. affinis」、「アエオリダケアの仲間17 AEOLIDACEA sp. 17」、「アエオリダケアの仲間18 AEOLIDACEA sp. 18」と、ミノ系ウミウシを見ることが出来ました。
 「Cratena cf. affinis」は、浮島や八丈島でもほぼ同じ個体を確認しています(当日、ネアカ!ネアカ!と私が言ってましたが、アカメですね・・・)。

 2002/12 追記:
 大瀬崎、浮島、八丈島の個体写真をラドマン先生のフォーラムに送ったところ、大瀬崎と浮島の個体は「アカメミノウミウシ Cratena affinis」であることがわかりました。八丈島の個体が「アカメミノウミウシの仲間1(和名なし) Cratena cf. affinis」となります。大瀬崎と浮島の個体ではミノの根元の色が異なりますがこれは、摂食状態や生息状況によって変化するそうです。


 「AEOLIDACEA sp.」2種については、まだ詳しく調査をしていません。今後なにかわかりましたら、ここにも追記します。

 「ユウブランカスの仲間3(和名なし) Eubranchus sp. 3」も見せてもらったのですが、これがまた小さな個体で、体長4mm程、今まで確認された個体と同じく「ハネウミヒドラ」についているのですが、小さすぎて「ハネウミヒドラ」との区別がつきません(最初の2枚は、間違えて「ハネウミヒドラ」の「実」を撮影してました)。
 このウミウシは、「ハネウミヒドラ」の「実」を丸呑みしてミノの部分に格納するのですが、この個体は小さい為か(全長が「実」の2倍位しかない)、丸ごと格納していると思われる「実」の形状がちょと丸呑みされる前のものとは異なってました。
 そろそろダイビングも終盤になってきました。「マダラウミウフクロウ」はまだ見つかりませんが、他のウミウシを色々見ることができて、かなり満足でしたので「まあイイかな」と思っていました。
 そんな時、栗原さんが「もう少し沖を探しましょう」といった感じで、合図を送ってます。「OK」サインを出して、沖に少し泳ぎだした時です。栗原さんのライトが、水中を漂う「マダラウミフクロウ Euselenops luniceps」を映し出しているではないですか!!
 それまでちょっと寒かったのですが、その瞬間、寒さを忘れました。クローズアップレンズを外し、ストロボの向きを調整し、水中を泳ぐ(漂う?)「マダラウミフクロウ」を懸命に撮影します。が、これがまた思うようにいきません・・・ダウンカレントに乗って、どんどん深場に吸い込まれてしまうのです。
 6枚ほど撮影してなんとか2枚だけ写ってました。その2枚を合成して、それっぽく舞っているシーンを再現してみました(この個体は、泳ぐというより、クルクル回るように漂ってました)。
 このまま「マダラウミフクロウ」についていったら、直ぐに水深30m位まで行ってしまいそうです(もっと行くかな?)。と、いうことで、この個体には、一度砂地に降りてもらうことにしました。もともと砂地を好む種なので、素直に着底して砂地を移動しはじめましたが、しばらくすると頭から砂に潜りはじめました。その動きはかなりゆっくりで、なにか感触を確かめながら一歩いっぽ、砂に入っていっているような感じです。10枚ほどそのシーンを連続撮影したのですが、結局体半分ほど潜り込んだところで、私のエアーが残り少なくなってしまい、上がることにしました。

 しかし、サスガ!栗原さんです。私にはとても真似の出来ないウルトラCのガイディングで、逆転満塁さよならホームランの「マダラウミウフクロウ」を見せて下さいました。
 この劇的な「マダラウミウフクロウ」との出会いは、きっと忘れることはないでしょう。

 撮影中もちょっと気になっていたのですが、エキジットしてから画像をチェックしてみると、この「マダラウミウフクロウ」は、体の一部を欠損しているようです(頭部右側の傘のように広がった部分)。栗原さんも気付いていて、水中を漂っている時に、回転するように泳いでいたのはこの為ではないかと意見が一致しました。

 栗原さん、私のリクエストにバッチリ答えてくださって、本当にありがとうございました。

関連リンク
OSEHOO! OSEZAKI(栗原さんのサイト)
マリンサービスみやもと


伊豆・大瀬崎で出会ったウミウシたち

ビワガタナメクジ Dolabrifera dolabrifera ----- 1個体
クロスジアメフラシ Stylocheilus striatus ----- 1個体
アカシタナシウミウシ Dendrodoris fumata ----- 1個体
ミドリアメフラシ Aplysia oculifera ----- 1個体
ユビワミノウミウシ Cuthona purpureoanulata ----- 1個体
アカメミノウミウシ Cratena affinis ----- 1個体
アエオリダケアの仲間18 AEOLIDACEA sp. 18 ----- 1個体
ユウブランカスの仲間3(和名なし) Eubranchus sp. 3 ----- 1個体
アエオリダケアの仲間17 AEOLIDACEA sp. 17 ----- 1個体
マダラウミフクロウ Euselenops luniceps ----- 1個体

学名の読み:デンドロドーリス フマータ クロシタナシウミウシ
Dendrodoris
fumata
学名の読み:デンドロドーリス フマータ クロシタナシウミウシ
Dendrodoris
fumata
学名の読み:エウブランクス ホリミノウミウシ属の仲間3
Eubranchus
sp. 3
学名の読み:エウブランクス ホリミノウミウシ属の仲間3
Eubranchus
sp. 3
学名の読み:クラテナ アフィニス アカメミノウミウシ
Cratena
affinis
学名の読み:クラテナ アフィニス アカメミノウミウシ
Cratena
affinis
学名の読み:クラテナ アフィニス アカメミノウミウシ
Cratena
affinis
学名の読み:クラテナ アフィニス アカメミノウミウシ
Cratena
affinis
学名の読み:クトナ プルプレオアヌラータ ユビワミノウミウシ
Cuthona
purpureoanulata
学名の読み:クトナ プルプレオアヌラータ ユビワミノウミウシ
Cuthona
purpureoanulata
学名の読み:クトナ プルプレオアヌラータ ユビワミノウミウシ
Cuthona
purpureoanulata
学名の読み:アエオリディダ ミノウミウシ小目の不明種8
Aeolidida
sp. 8
学名の読み:アエオリディダ ミノウミウシ小目の不明種8
Aeolidida
sp. 8
学名の読み:アエオリディダ ミノウミウシ小目の不明種8
Aeolidida
sp. 8
学名の読み:アエオリディダ ミノウミウシ小目の不明種8
Aeolidida
sp. 8
学名の読み:アエオリディダ ミノウミウシ小目の不明種9
Aeolidida
sp. 9
学名の読み:アエオリディダ ミノウミウシ小目の不明種9
Aeolidida
sp. 9
学名の読み:アエオリディダ ミノウミウシ小目の不明種9
Aeolidida
sp. 9
学名の読み:アエオリディダ ミノウミウシ小目の不明種9
Aeolidida
sp. 9
学名の読み:エウセレノプス ルニセプス マダラウミフクロウ
Euselenops
luniceps
学名の読み:エウセレノプス ルニセプス マダラウミフクロウ
Euselenops
luniceps
学名の読み:エウセレノプス ルニセプス マダラウミフクロウ
Euselenops
luniceps
学名の読み:スティロケイラス ストリアトゥス クロスジアメフラシ
Stylocheilus
striatus
学名の読み:スティロケイラス ストリアトゥス クロスジアメフラシ
Stylocheilus
striatus
学名の読み:スティロケイラス ストリアトゥス クロスジアメフラシ
Stylocheilus
striatus
学名の読み:ドラベッラ ドラブリフェラ ビワガタナメクジ
Dolabrifera
dolabrifera
学名の読み:ドラベッラ ドラブリフェラ ビワガタナメクジ
Dolabrifera
dolabrifera
学名の読み:アプリュジア オクリフェラ ミドリアメフラシ
Aplysia
oculifera



画像をクリックすると大きな画像とウミウシのデータが表示されます