No.490 2002/10/13 伊豆・浮島 ビーチ右側周辺(1本目)
天気:晴れ 水温:24℃ 透明度:6〜8m


 10月始めのダイビングも、西伊豆の浮島に行ってきました。

 まずは、ビーチ右側に「クチナシイロウミウシ Hypselodoris whitei」と「キイロウミウシ Glosodoris atromarginata」が出たという情報を聞いたので探してみました。どちらも、私はまだ伊豆では見たことがありません。
 しかし、エントリーしてみると、台風22号の影響と思われる強い底ウネリで思うようにウミウシを探せません(実際にこの日は東伊豆は大荒れだったようです)。結局、1本目はこの2種類は見れませんでした。

 今日、まず目に付いたのは、普段から浮島には多い「ムカデミノウミウシ Pteraeolidia ianthina」です。あまり大きな個体は見かけませんでしたが、ブルーがキレイな中型の個体が多数見られました。

 「アオウミウシ Hypselodoris festiva」も幼体サイズの小さな個体を3個体ほど見ました。恐らくもっと多くの個体がいると思います。

 私は見ていないのですが、「シロミノウミウシ Aeolidiella alba」も前回に引き続き妻が確認しています。

 妻が、オレンジ色がキレイなミノ系のウミウシを探してきました。肉眼で見た時はよくわからなかったのですが、撮影して確認してみると、どうやら、以前からこの付近で確認している、触角の形状が一般的なタイプと異なる「セスジミノウミウシ Flabellina rubrolineata」のようです。このウミウシについてはラドマン先生に問い合わせ中です。

 ウネリでなかなかウミウシが見付からず、しばらく岩肌をウネリに乗りながら眺めていると「コイボウミウシ Phyllidiella pustulosa」がいました。伊豆では比較的少ない種のように思っていましたが、ここ浮島では一般的に見られます。

 水上アーチ付近はウネリがかなり強くウミウシをさが探すのが大変なので「キッカヒロウミウシ Phyllodesmium magnum」を探しに少し沖よりに移動しました(沖といってもほんの数十メートルですが)。しかし「キッカヒロウミウシ」も今回は見つけることができませんでした。

 「今日はダメかな?」とあきらめ気味に水上アーチの入り口付近に戻ってきて岩肌を見ていると「タマノミドリガイ Tamanovalva limax」のような体長4mmほどの貝殻を見つけました。強いうねりの中、岩につかまって観察していると貝殻から触角らしきものが見えます。間違いなくウミウシです。
 水深は1m位、水上アーチを抜ける強いウネリの中、必死に撮影しましたが、移動中だったのか意外に動きが速くあっと言う間に岩の窪みに入っていってしまいました。
 なんとか証拠写真程度のものは撮影できました。自宅に帰ってから調べて見ると「ユリヤガイ Julia exquisita」のようです。伝言版にUPしたところ、早速、八丈島のモグリッチョさんから「ユリヤガイ Julia exquisitaのようですね」とアドバイスを頂きました。たしか八丈島でもかなり珍しいウミウシだと思いましたが、まさか西伊豆の浮島で出会えるとは思ってもいませんでした。


2003/05/27 追記:
「ユリヤガイ」の学名「Julia exquisita」については、以下の経緯において「Julia japonica」に変更しました。

・和名のユリアガイは、もともと Julia japonica に与えられた和名であること。このことは、 Julia exquisita には、和名がないことを示します。

・みどりいし, (9) : 15-25, (1998) 阿嘉島周辺海域 軟体動物目録 波部忠重,土屋光太郎 では、 Julia exquisitaJulia japonica を明確に分けてリストに載せていること。

・オーストラリアの軟体腹足類の大辞典 Mollusca - The Southern Synthesis, 1998 でも、 Julia japonica は有効種として扱われていること。

さらに、
・オーストラリアのラドマンフォーラムの Julia exquisita のページでは、ユリアガイ属を研究しているCory Pittmanによって以下のようなコメントがされている。
「私が California Academy of Sciences を訪れた時に、Terry Gosliner が私に見せたくれた写真と貝殻にに基づいて言えば、Julia japonicum (japonica の誤り) Kuroda & Habe, 1951 は、見たところ Julia exquisita と密接に関係があると思いました。」
と記されているのみで、同氏の Julia zebra Kawaguti, 1981 に対するコメント、「 J. zebra は、結局 J. thecaphora Carpenter, 1857. のシノニム(同物異名)であると判明するかもしれません。」に比べて、穏やかな表現であることを考えると、同氏においても Julia japonicaJulia exquisita のシノニムかもしれないと類推はできても、断定は出来ない状況であることを伺わせます。

そこで現状では、Julia japonicaJulia exquisita のシノニムであると考えるのは行き過ぎであると考え、さらに詳しいことが分かるまでは、Julia japonica としておくのが適当であろうということで、ここに学名を改めることにしました。



 「ユリヤガイ」を見つけた場所の近くで「キセワタガイ系」か「ツバメガイ系」のウミウシと思われる個体を見つけました。体長は20mmほどあり、撮影・観察しやすい大きさだったのですが、水深が1mも無く、大きなうねりで私自身が飛ばされてしまい、そのウミウシも3枚撮影しただけで見失ってしまいました。なんとか2枚は写っていたので、この写真を元に調査を進めたいと思います。現在はまだ詳細が不明ですので「キセワタガイの仲間 Philinopsis sp.」としておきます。

 今回も普通の岩場で「ユビノウハナガサウミウシ Tritoniopsis elegans」を確認できました。15mmほどのまだ小さな個体です。

 「ヨゾラミドリガイ Thuridilla vatae」も1個体だけ確認できましたが、探せばもっといると思います。

 私は見ていないのですが「キイロウミコチョウ Siphopteron flavum」がまた出現しているようです。サンセットリゾートのおしざわさん、まのっちさんも確認していますし、今回、妻が2個体見ています。春先にも多くの個体を確認できましたが、どのようなサイクルなのでしょうね?

伊豆・浮島で出会ったウミウシたち(1本目)

ムカデミノウミウシ Pteraeolidia ianthina ----- 多数
アオウミウシ Hypselodoris festiva juv. ----- 3個体
シロミノウミウシ Aeolidiella alba ----- 1個体
コノハミドリガイ Elysia ornata ----- 3個体
キイロウミコチョウ Siphopteron flavum ----- 2個体
セスジミノウミウシ Flabellina rubrolineata ----- 1個体
コイボウミウシ Phyllidiella pustulosa ----- 1個体
ユリヤガイ Julia japonica ----- 1個体
キセワタガイの仲間 Philinopsis sp. ----- 1個体
ユビノウハナガサウミウシ Tritoniopsis elegans ----- 1個体
ヨゾラミドリガイ Thuridilla vatae ----- 1個体



No.491 2002/10/13 浮島 ビーチ・ドラゴンホール−>ビーチ右側周辺(2本目)
天気:晴れ 水温:24℃ 透明度:6〜8m


 2本目はビーチ左側の「ドラゴンホール」に「スミゾメミノウミウシ Protaeolidiella atra」、※「セスジスミゾメウミウシ Protaeolidiella juliae」を見に行きました。ここには数個体が密集しているとの情報をおしざわさんから聞いています。
 しかし、現場に到着すると、もの凄いウネリでホールの中をジェットコースターに乗ったように行ったり来たりする状態です。これではウミウシを見つけても撮影どころか観察もできないようなので、早急にドラゴンホールを後にして、ビーチ右側へ切り替えました。
※日本では、P. atera と P. juliae を別種としているが、ラドマン先生によると、解剖学的な差異はないので、当サイトでは、P. juliae は P. atera のシノニムとしています。 世界的には、背面正中に白い縞のある個体を P. atera としており、縞のない個体は、日本でのみ見られる色彩変異のようです。

 ドラゴンホールからかなりの距離を泳ぎ、ビーチ右側の水上アーチ付近で再エントリーです。
 ちょっと休憩という感じでいつも同じ場所にいる「ヒロウミウシ Hopkinsia hiroi」を見ていると、妻が見慣れないミノ系のウミウシを見つけてました。ウネリの影響を受けにくい窪みにいたので、ジックリ撮影・観察できたのですが、その場では今ひとつ種がわかりませんでした。宿泊先のホテルに帰ってから、パソコンの画面で拡大してみたところ、どうもミノの特徴が「イボヤギミノウミウシ Phestilla melanobrachia」に似ています。
 浮島には、イボヤギが沢山ある場所もあり「イボヤギミノウミウシ」がいても不思議ではありません。しかし、この個体を見つけた場所およびその付近にはイボヤギは見当たりません。また、この個体も「イボヤギミノウミウシ」にしては、ミノの中央付近から根元およびボディ部の色が白すぎます。
 餌となるイボヤギが無い為、餌を食べられずに色が薄くなってしまったことは考えられます。なんでこんな場所にいたかは、ウネリで飛ばされてきた可能性もあります。
 まだ調査が必要かもしれませんが、とりあえず「イボヤギミノウミウシ Phestilla melanobrachia」としておきます。

 「イボヤギミノウミウシ」を撮影・観察した後、あきらめきれずに「クチナシイロウミウシ Hypselodoris whitei」と「キイロウミウシ Glosodoris atromarginata」を探してみました。
 「クチナシイロウミウシ」はどうしても見付けられませんでしたが、「キイロウミウシ」は2個体見つけることができました。1個体は20mmほどの個体で、触角が片方欠損しているように見えましたが、もう1個体は、45mmほどの大きな個体でした。伊豆で見たのは初めてでしたのでとても感動しました。

 その他では1本目と同じく「アオウミウシ Hypselodoris festiva」の幼体、「ムカデミノウミウシ Pteraeolidia ianthina」「コノハミドリガイ Elysia ornata」が確認できました。

 前回(9月)多数いた「クロスジアメフラシ Stylocheilus striatus」は、今回あまり見かけませんでしたが妻が1個体確認しています。確認数が少ないのはウネリの影響もあると思います。

 当日は下田に1泊でしたので、翌日、下田の磯でウミウシを探そうと思ったのですが、海が大荒れであきらめました。

伊豆・浮島で出会ったウミウシたち(2本目)

ヒロウミウシ Hopkinsia hiroi ----- 4個体
イボヤギミノウミウシ Phestilla melanobrachia ----- 1個体
キイロウミウシ Glosodoris atromarginata ----- 2個体
アオウミウシ Hypselodoris festiva juv.・・・2個体
ムカデミノウミウシ Pteraeolidia ianthina ----- 多数
コノハミドリガイ Elysia ornata ----- 4個体
クロスジアメフラシ Stylocheilus striatus ----- 1個体

学名の読み:ヒュプセロドーリス フェスティバ アオウミウシ
Hypselodoris
festiva
学名の読み:グロソドーリス アトロマルギナータ キイロウミウシ
Glossodoris
atromarginata
学名の読み:グロソドーリス アトロマルギナータ キイロウミウシ
Glossodoris
atromarginata
学名の読み:グロソドーリス アトロマルギナータ キイロウミウシ
Glossodoris
atromarginata
学名の読み:オケニア・ヒロイ ヒロウミウシ
Okenia [Hopkinsia]
hiroi
学名の読み:フュリィッディエッラ プストゥローザ コイボウミウシ
Phyllidiella
pustulosa
学名の読み:トリトニオプシス エレガンス シロハナガサウミウシ(新参異名:ユビノウハナガサウミウシ)
Tritoniopsis
elegans
学名の読み:フラベッリナ ルブロニネアータ サキシマミノウミウシ属の仲間
Flabellina sp.
cf. rubrolineata
学名の読み:プテラエオリディア イアンティナ ムカデミノウミウシ
Pteraeolidia
ianthina
学名の読み:ペスティッラ メラノブランキア イボヤギミノウミウシ
Phestilla
melanobrachia
学名の読み:ペスティッラ メラノブランキア イボヤギミノウミウシ
Phestilla
melanobrachia
学名の読み:ペスティッラ メラノブランキア イボヤギミノウミウシ
Phestilla
melanobrachia
学名の読み:エリシア オルナタ コノハミドリガイ
Elysia
ornata
学名の読み:トゥリディラ バタアエ ヨゾラミドリガイ
Thuridilla
vatae
学名の読み:ユリヤ イクシータ ユリヤガイ
Julia
exquisita
学名の読み:ユリヤ イクシータ ユリヤガイ
Julia
exquisita
学名の読み:アグラジド カノコキセワタ属の1種1
Aglajid
sp. 1
学名の読み:アグラジド カノコキセワタ属の1種1
Aglajid
sp. 1



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