2003/8/30 真鶴 三ツ石海岸(潮溜り)
天気:曇り時々晴 水温:約26℃


 先週に引き続き、今週も真鶴・三ツ石海岸の磯に行ってきました。
 天気予報は曇りですし学生の夏休みも残すところ2日なので、磯も今日は空いているだろうと思っていたら、天気は晴れで、磯も若者や家族連れで大にぎわいでした。
 今日は潮の引きがよかったので、東側と西側の両方に入りました。

 東側の磯に入って直ぐに見慣れないウミウシを見付けます。ドーリス科のウミウシだと思うのですが、この種のウミウシはいつも同定するのに手こずり、結局は不明種になってしまうパターンが多いです。
 かなり時間をかけて詳細に撮影しました。左側の触角の横付近が欠損していますが、実はこの個体、ミナミウメボシイソギンチャクと思われるイソギンチャクに欠損している部分が張り付いてる状態で発見され、どう考えても襲われていたようです。
 イソギンチャクから引き離した直後は体がしびれているのか、しばらく動きませんでしたが、石の上にのせてしばらく待ってみると動きだしました。撮影後もしばらく観察しているとゆっくりと石の裏側に移動していきました。
 で、この個体ですが、ラドマン先生のサイトで調べたところ「Sclerodoris apiculata」にかなり近いようです。よって現在のところは、「スケレロドーリス・アピクラータ(学名読み) Sclerodoris apiculata」とします。

 その後は「アカエラミノウミウシ Sakuraeolis enosimensis」「アカボシウミウシ Gymnodoris alba」「ミノウミウシ Aeolidiella indica」「メリベウミウシ Melibe papillosa」など、ここ最近西側でよく見るおなじみのウミウシたちに出会えました。

 ここで見たミノウミウシは、発見時2個体で卵塊を取り囲むようにしていました。
 撮影していると、逃げ出すように卵から離れていったのですが、またしばらくすると卵塊の所に戻ってきて卵を守るように取り囲んでいます。客観的に見て、どうやら「ミノウミウシ Aeolidiella indica」は卵を守る習性があるように感じました。
 この個体に限らず、「ミノウミウシ Aeolidiella indica」は卵塊と一緒にいる場面が多いです。

 今回、特に多く見かけたのは「サガミミノウミウシ Phyllodesmium serratum」です。
 まだ、若い個体のようで、あまり大きくはありません。「東側はサガミミノウミウシが多いなぁ」と思っていたら、西側でも数個体確認できました。時期的なもののようです。

 「アカキセワタガイ Philine rubrata」は「居なくなったな」と思うと、またポツリポツリと出てきます。小さい個体なので見付からないだけかもしれません。

 久しぶりに三ツ石の磯で見たのが「シミツキウミウシ Discodoris lilacina」と「コノハミドリガイ Elysia ornata」です。
 シミツキウミウシは、体長5mmほどの小さな個体で、明らかに幼体のようです。
 冬から春にかけては大きな個体を見かけます。このシミツキウミウシの生体と思われる大きな個体は「ツヅレウミウシ Discodoris concinna Alder & Hancock,1864」とも呼ばれていますが、当サイトでは、ラドマン先生のサイト(Sea Slug Forum)を参考に「ツヅレウミウシ Discodoris concinna」は「シミツキウミウシ Discodoris lilacina」のシノニム(同物異名)としています。

 コノハミドリガイは昨年の秋にもこの磯で多数確認できましたので、これから個体数が増えてくると思います。

 東側は広い磯なので広範囲に探していると、この磯では初めて見る「セトイロウミウシ Chromodoris decora」がいました。大瀬崎でも同じような環境の場所で見付かっていますが、探せばいるものですね。キレイなウミウシのですが、模様がぼやけていて写真はとても撮りづらいです。

 東側はそろそろ上がろうと思い、浅瀬に移動しながらウミウシを探していると、鮮やかなオレンジ色のドーリス科のウミウシと思われる個体を見付けました。
 このときも「嗚呼、これはなんだかわからないぞ・・・イソウミウシ?」なんて思いながら撮影していたのですが、その後調べてみたところ、沖縄・慶良間で確認している、当サイトの「Sclerodoris sp. 1 コシボシウミウシ」に似ているようです。
 しかし、コシボシウミウシの特徴でもある、外套部に現れる白い点突起が確認できないため、「Sclerodoris sp. 2」としました。
 このウミウシを撮影・観察して東側の磯から上がりました。

 次は普段よく入る西側の磯です。すでに潮は上げ始めているようなので、急いで移動します。

 こちらでも入って直ぐにウミウシが見付かりました。一つの石に「イロミノウミウシ Spurilla chromosoma」と「ミノウミウシ Aeolidiella indica」が、少しだけ距離を置いて着いていました。
 イロミノウミウシはこの磯では比較的多い種なのですが夏場は個体数が減るようで、久しぶりに見たのでうれしかったです。
 撮影していると、ミノを逆立てて威嚇しながら移動ました。
 すぐ近くの別の場所でも、色の濃い大きめのイロミノウミウシを確認できました。

 この場所では、ここ最近「メリベウミウシ Melibe papillosa」が特に多いのですが、今日も多くの個体を確認できました。
 メリベウミウシは三ツ石以外でも多くの個体を撮影してますが、今ひとつ整理ができておらず、「もしかしたらこれは別種?」というのも何個体かあります。今回の白っぽい個体も他の茶色い個体と比べて、微妙に背面突起の形状が異なるような気もします。
 「Melibe papillosa」という学名と「メリベウミウシ」という和名についても調査が必要と感じてますが、まったく調査していないので、今後の課題にしたいと思います。

 「サガミミノウミウシ Phyllodesmium serratum」を2個体と「ウミフクロウ Pleurobranchaea japonica」、「シミツキウミウシ Discodoris lilacina」を1個体づつ見たところで、潮もかなり上げてきていたので上がることにしました。

 上がり際の、先週、ゴマフミノウミウシが居た場所付近を探してみると、一つの石に多数の「ゴマフミノウミウシ Herviella affinis」が着いています。ざっと数えても大小10個体はいるようです。
 普通なら驚くと思うのですが、昨年もこの場所で同じような光景を目撃しているので「あっ、まただ!」といった感じでした。
 ゴマフミノウミウシは先週も撮影したし、すでに波が入ってくるほど潮が上げてきていたので、ざっと撮影してあがりました。
 しかし、撮影中になにか違和感があり、着替えを済ませて車の中で画像を確認すると明らかに頭部と触角の模様がゴマフミノウミウシとは違う個体が写ってます。しかも、多数居た中のほとんどがその種です(普通のゴマフミノウミウシも2個体いました。その内1個体は撮影もしました)。
 「嗚呼〜もっとちゃんと撮影すればよかった」と思いましたが、後の祭りです。なんとか5枚ほど写っていたので、その場はあきらめて帰ることにしました。

 自宅に帰ってこのウミウシのことを調べましたが、手がかりすらつかめません。形状はゴマフミノウミウシに極めて近く、同じ場所で見付かったことから、その場は「ゴマフミノウミウシの仲間? Herviella cf. affinis」として伝言板にUPしました。
 すると、翌日、yamadaさんから「アキバミノウミウシ Cuthona akibai」ではないかとアドバイスをいただきました。
 アキバミノウミウシの画像は確認できませんでしたが、日本海類学会に発表されていることと、yamadaさんの三浦半島の磯で同じ種を確認されているということですので、今回の個体も「アキバミノウミウシ Cuthona akibai」としました。
 しかし、yamadaさんサスガです。私だけではここまで調べることは不可能でした。ありがとうございました。

 一つだけ気になるのは、アキバミノウミウシの形状が「ゴマフミノウミウシ Herviella affinis」に極めて似ていて、yamadaさんもアキバミノウミウシとゴマフミノウミウシを一緒の見付けているのですが、これらの種は、属がそれぞれ異なります。
 ゴマフミノウミウシは「Herviella属」なのですが、アキバミノウミウシは「Cuthona」です。どちらも馬場先生が記載された種ですので間違いは無いと思うのですが、「同じ属じゃないんだ?」と、ちょっと疑問を感じてしました。

真鶴・三ツ石海岸で出会ったウミウシたち

スケレロドーリス アピクラータ Sclerodoris apiculata ---- 1個体
アカエラミノウミウシ Sakuraeolis enosimensis ---- 多数
アカボシウミウシ Gymnodoris alba ---- 1個体
ミノウミウシ Aeolidiella indica ---- 多数
メリベウミウシ Melibe papillosa ---- 多数
サガミミノウミウシ Phyllodesmium serratum ---- 多数
アカキセワタガイ Philine rubrata ---- 2個体
シミツキウミウシ Discodoris lilacina ---- 2個体
コノハミドリガイ Elysia ornata ---- 1個体
セトイロウミウシ Chromodoris decora ---- 1個体
スケレロドーリスの仲間 Sclerodoris sp. 2 ---- 1個体
イロミノウミウシ Spurilla chromosoma ---- 3個体
ウミフクロウ Pleurobranchaea japonica ---- 2個体
オトメウミウシ Dermatobranchus otome ---- 2個体
ゴマフミノウミウシ Herviella affinis ---- 2個体
アキバミノウミウシ Cuthona akibai ----多数

学名の読み:スケレロドーリス アピクラータ スケレロドーリス・アピクラータ(学名読み)
Sclerodoris
apiculata
学名の読み:スケレロドーリス アピクラータ スケレロドーリス・アピクラータ(学名読み)
Sclerodoris
apiculata
学名の読み:スケレロドーリス アピクラータ スケレロドーリス・アピクラータ(学名読み)
Sclerodoris
apiculata
学名の読み:スケレロドーリス スケレロドーリスの仲間2
Sclerodoris
sp. 2
学名の読み:スケレロドーリス スケレロドーリスの仲間2
Sclerodoris
sp. 2
学名の読み:タユバ・リラキナ ツヅレウミウシ(異名:シミツキウミウシ)
Tayuva
lilacina [Syn. D. concinna]
学名の読み:タユバ・リラキナ ツヅレウミウシ(異名:シミツキウミウシ)
Tayuva
lilacina [Syn. D. concinna]
学名の読み:ゴニオブランカス デコラ セトイロウミウシ
Goniobranchus
decora
学名の読み:ゴニオブランカス デコラ セトイロウミウシ
Goniobranchus
decora
学名の読み:メリベ パピローザ ヒメメリベ(旧 メリベウミウシ)
Melibe
papillosa
学名の読み:メリベ ビリディス ムカデメリベ(旧 メリベウミウシ)
Melibe
viridis
学名の読み:メリベ ビリディス ムカデメリベ(旧 メリベウミウシ)
Melibe
viridis
学名の読み:メリベ ビリディス ムカデメリベ(旧 メリベウミウシ)
Melibe
viridis
学名の読み:スプリッラ  クロモゾーマ イロミノウミウシ
Spurilla
chromosoma
学名の読み:スプリッラ  クロモゾーマ イロミノウミウシ
Spurilla
chromosoma
学名の読み:スプリッラ  クロモゾーマ イロミノウミウシ
Spurilla
chromosoma
学名の読み:スプリッラ  クロモゾーマ イロミノウミウシ
Spurilla
chromosoma
学名の読み:スプリッラ  クロモゾーマ イロミノウミウシ
Spurilla
chromosoma
学名の読み:アンテアエオリディエッラ インディカ ミノウミウシ
Anteaeolidiella [Old Aeolidiella]
indica
学名の読み:アンテアエオリディエッラ インディカ ミノウミウシ
Anteaeolidiella [Old Aeolidiella]
indica
学名の読み:サクラエオリス エノシメンシス アカエラミノウミウシ
Sakuraeolis
enosimensis
学名の読み:ヘルウィエッラ アフィニス ゴマフミノウミウシ
Herviella
affinis
学名の読み:フィロデスミウム セラットゥム サガミミノウミウシ
Phyllodesmium
serratum
学名の読み:フィロデスミウム セラットゥム サガミミノウミウシ
Phyllodesmium
serratum
学名の読み:フィロデスミウム セラットゥム サガミミノウミウシ
Phyllodesmium
serratum
学名の読み:クトナ アキバイ アキバミノウミウシ
Cuthona
akibai
学名の読み:クトナ アキバイ アキバミノウミウシ
Cuthona
akibai
学名の読み:クトナ アキバイ アキバミノウミウシ
Cuthona
akibai
学名の読み:エリシア オルナタ コノハミドリガイ
Elysia
ornata
学名の読み:プレウロプランカエア ジャポニカ ウミフクロウ
Pleurobranchaea
japonica
学名の読み:フィリネ ルブラータ アカキセワタ
Philine
rubrata



画像をクリックすると大きな画像とウミウシのデータが表示されます